台風が近づいているようで、2026年の5月末に発生した台風6号は「チャンミー」といいます。知っていましたか?台風にはいくつかの名前があることは知っていましたが、これを機に調べてみたところ、140の呼称が用意され、5~6年周期で1番目の台風の名称に戻ってくるようです。
気象庁によると、台風の名づけは台風委員会によって決定されたものであるといわれています。台風名だけ確認したい場合は、下記のリンクを参照してください。
台風委員会によると、名づけの目的には、1)アジア各国・地域の文化の尊重と連帯の強化、相互理解を推進すること、2)アジア圏の人々になじみのある呼び名をつけることで人々の防災意識を高めること、の2点であり、日本が選出した台風名は10個とも星座名で用意されています。星座名を由来にした理由として、中立的で、自然の事物であり、天空にあり、人々に親しまれているといった背景があるようです。
気象庁のリンク先には番号順に台風名と意味が添えられ、ちらちらとみているとなんでこんな名づけがされたのだろう、と不思議なものも多くありました。1番から140番までの台風名を国ごとで整理し、どのような共通点があるのか、法則性があるのかを調べてみることにしました。どうやら、台風委員会加盟国の14か国が10種類ずつ名づけをされているのだと、表を作っているとわかりました。
日本の台風名は、星座で統一されています。とも座を見ながら「これはなじみがあるのか」とツッコミを入れてしまいたくなります。とも座は88星座の一つ、船の船尾の形をされ、6月下旬から10月上旬から日本で見える星座です。星座が見える時期と台風の時期が近しく、台風名に名付けたのかもしれません。法則性が見えそうになると、面白いですね。
最初、これら星座を見たところ、こいぬ座はクルクルと動き回る様子や、とけい座は右回りに進行する台風があるとか、台風の形状をイメージしやすいものを名づけとして選ばれたのかと思いました。そのような意図もあるのかもしれませんが、とも座のように、一つずつ星座の見える時期と星座の由来を解きほぐしていくと、台風名になった理由がわかるかもしれません。

中国の台風名は神話と植物を由来としたものが多いです。神話から考えられることは恩恵よりも畏怖することであり、台風らしい側面も特徴としてあるのかもしれません。植物を台風名に挙げているのは開花時期が関連しているのかと思えば、ムーランは開花時期が11月から5月と台風後に咲く花も用意されています。また、台風が到来することで、大地の恩恵が得られるため、縁起のある神様を台風名として名付けているのかもしれません。

韓国の台風名は生物を中心とした名づけがされています。植物だけでなく、蟻やたぬき、羽といったものも挙げられています。鳥の羽かと思い、生物系に分類してしまいましたが、台風を遠くから見た時の姿が片翼に見えることも執筆しながら考えてしまいました。もしかしたら【現象で表現】の方が分類的には良いのかもしれませんね。

北朝鮮の台風名は鳥の名前が多くあげられています。また、カエル(蛙)やトンボといった田畑を連想しやすい生物も台風名に挙げられています。やまびこ、たんぽぽ、夕焼けからのどかな情景が浮かびますが、嵐の前の静けさを指しているのでしょうか。日本とは異なり地理的な解釈を含めると理解ができるのかもしれません。

アメリカの台風名は日本や中国、韓国とは異なり、人の名前や直接伝わる意味が挙げられています。伝わりやすいを優先しているのかもしれませんが、気になるのは【いちじく】です。少し調べてみたところ、新約聖書において、イエス・キリストが実を結ばないイチジクの木を呪い、枯れさせたとの伝承があります。そのため、アメリカの信仰的に、理解しやすい逸話なのかもしれません。

カンボジアの台風名は植物を中心に挙げられています。語源が木の名前や花の名前と抽象的になっているのが特徴です。クロヴァンを調べたところ、クメール語でカルダモン(ショウガ科の多年草)の事を指すようです。カンボジアは雨季(5月~10月)と乾季(11月~4月)があり、9月から10月がピークといえます。その時期と生態を調べると選出の背景が掴めるかもしれません。

タイの台風名は一貫性が見られにくいです。ブアローイというお菓子は水に浮く蓮を意味し、カーヌン(バラミツ)は世界一大きな果物と呼ばれています。雨とか水がテーマ性なのかもしれません。

フィリピンの台風名は比喩表現を中心に挙げられています。台風の荒々しさが込められているのかもしれません。アムヤオ山は上級者向けの山で、過酷さを表現する上では理解しやすいのだろうと考えられます。

ベトナムの台風名は生物の名前が多くあります。中でもサオビエン(ヒトデ)はベトナムでよく見られるものらしく、ビーチの名前にもつけられています。また、ベトナム神話には山精・水精(ソンティン・トゥイティ)伝説を指します。山精と水精がある一人の女性に求婚することで発生した壮絶な戦いが繰り広げられた伝説のことを指します。さらに、ルックビンはホテイアオイのことを指し、繁殖っ欲が強いため水運の妨げになる一方で、丈夫で柔軟な繊維を生かした手工芸品の素材や、豚の飼料として重要な役割を果たしているようで、ベトナムの人たちになじみが深い植物だといえそうです。

マカオの台風名は生物系が多く挙げられています。マカオはエッグタルトと牛乳プリンが名産であり、花火においては9月上旬から10月上旬に開催されるマカオ国際花火コンテストフェスティバルなど、現地の名産が台風名に挙げられているのかもしれません。マカオの梅の開花は1月であり、鑑賞スポットも存在するようです。マカオの台風が接近や上陸するリスクが高まるのは7月から9月頃で、その前後を連想させるものを選んでいるのかもしれません。

マレーシアの台風名は生物を中心に挙げられていますが、プラサンといった赤い果実やナンカーという緑色の世界最大級のフルーツも挙げられています。ランブータンの季節(5月から8月の雨季・夏季)が関係しており、果物の収穫に必要な恵みとしての雨なのかもしれません。しかし、マレーシアは赤道に近い位置にあるため、台風が到来しにくいようです。

ミクロネシアの台風名は少し独特で、人の名前や称号といった名誉あるものを台風に挙げられています。威厳とか勇猛さといったものが台風のイメージにあるのかもしれません。ティロウはヤップ州で使われる伝統的な深い敬意を表す挨拶であり、台風という自然災害に敬意を払って選出されているのかもしれません。

ラオスの台風名は生物と地名が挙げられています。リーピという川はドンコン島にある滝の名前です。地元では「悪霊を罠にかける滝」と悪い気を川下に流し去る神聖な場所と言われています。ラオスの台風の時期は6月から10月頃で、スコールのようなものがあるのかもしれません。

香港の台風名は地名が多く挙げられています。ライオンロックやチンマー橋は観光スポットとして有名です。バンヤンはガジュマルのことで、縁起のよい観葉植物として知られています。そのため、良いイメージのものが到来するといった名づけをされているのかもしれません。

14か国の台風の名づけを掘り下げてみました。色々な意味な意味が込められていて、面白い内容でした。今回は国によって系統が異なることがわかりました。下の表はどの系統が多いかを調べたものです。執筆中に分類に揺らぎが生じたところもありますが、植物の名前を台風に名づけることが多いようです。水分を多く必要とする植物も名づけに挙がっていたように、恵みになるのかもしれません。同時に、比喩表現や神話には恐れ多いものとして名づけが挙がっていました。また、その国においてメジャーな地名を置くことで、危険を知らせる役割があるのかもしれません。

これ以外においても、「恵みを得る(与える)もの」や「恐れるもの」といった分類をすることで台風の名づけへの理解が深まるのかもしれません。今回は14か国をいっぺんに見てしまったため、ざっくりとした分類になってしまいました。一つ一つの関係性を紐解いていくことで、台風の名づけに納得できる内容が見つかるかもしれません。
また少しずつ、調べていきたいと思います。


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