台風名から学ぶ星座(日本)

2026年6月初旬に発生した台風は峠を越したようで、大雨の被害があった地域もあったようです。私自身、台風による気圧の高低差に参ってしまうこともありますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

以前に台風の呼び名について、ざっくりと解説しました。14カ国で構成された台風委員会による台風名があるとの事、覚えていますか?気になる方は、確認してみてください。

さて、今回は日本の台風名を掘り下げようかと思います。日本の台風名は【星座】で構成されていますが、選ばれたからには何かしら関係性があるかもしれません。

筆者自身は星座に詳しくないので法則が思い浮かびませんが、前回の植物の台風名は台風の前後、すなわち水分を運ぶ象徴として植物名をあげているものもありました。星座も季節と関係するのかな、と思いながら調べることにしました。

日本の台風名は、【こいぬ座】、【とも座】、【へび座】、【カジキ座】、【こと座】、【くじら座】、【こぐま座】、【とけい座】、【トカゲ座】、【やまねこ座】の10種類です。

さっそく、星座の見える時期と星座の逸話を紹介していきたいと思います。

こいぬ座(冬の星座:1月から3月頃)

88星座の一つで、冬の大三角を作る【プロキオン】が輝く小さな星座であり、2つの神話があるようです。一つ目は【オリオンの猟犬】という天に上げられた狩人オリオンに付き添う「忠実な猟犬」として位置づけられているため、オリオン座を追いかけるように東の空から登ってくるという物語です。二つ目は【悲劇の忠犬「マイラ」】という物語で、主人である王様が領民の誤解により土に埋められ、マイラもその場から離れず命を絶ってしまうというもので、それを見た神々が、王様のイカリオスを【うしかい座】、娘を【おとめ座】、マイラを【こいぬ座】として天に上げられたという話です。日本でいうところの忠犬ハチ公物語を思い出させます。

とも座(冬の星座:2月から3月頃)

88星座の一つで、もともとは【アルゴ座】が4つに分裂されてできた星座(りゅうこつ座、とも座、ほ座、らしんばん座)の一つのようです。そのため、とも座は事態には神話がなく、アルゴ座の神話によると、巨大帆船アルゴ―号に乗り黄金の羊の毛皮を求めて旅をする、アルゴ遠征隊の冒険物語があるそうです。4つに分裂したことにも驚きですが、とも座は大きなの船尾の形をした南天の星座なのです。

南天の星座といっても秋田県や岩手県付近よりも南側であると見えやすい星座であるため、多くの地域で観測可能なのかなと思いました。2つの紹介をしましたが、88星座という聞きなれない単語が出てきているので、簡単に紹介します。88星座は1930年に国際天文学連合(IAU)で定めた境界線のことです。星を線で結ぶだけでなく88の区画を割り振り、原則ギリシャ神話で構成されているようです。

へび座(夏の星座:6月から8月頃)

88星座の一つですが、唯一2つの場所に分かれているという特徴を持つ星座です。へび座の神話は隣り合う【へびつかい座】のモデルであるアスクレピオスと関連があります。もともとは【へびつかい座】の一つだけでしたが、88星座の境界を引いた際に、独立した星座として登録されたようです。そのため、神話は【へびつかい座】がメインのものとなりますが紹介します。ある日、アスクレピオスが蛇を殺してしまいますが、もう一匹の蛇が薬草を口にくわえて現れ、死んだ蛇を生き返る。それをみたアスクレピオスは薬草の秘密を知り、神秘的な医術を身に着けたという話です。

季節の統一といった予想は見事にハズレてしまいました。もしかしたら、すべての時期に応じた星座を用意しているのかな、と3つ目の【へび座】を調べながら思いました。

カジキ座(冬の星座:1月下旬から2月上旬頃)

カジキ座は新規の星座のため神話がありせん。しかし、ある手違いでシイラ座からカジキ座になったという話があります。初期の星図にはトビウオを追いかけ疾走するセイラの様子が描かれていたようですが、複製や翻訳の過程で「顎の尖ったカジキマグロ」へと変化したようです。

しかし、カジキ座はオーストラリアまで向かうと11月から2月にかけてみることができますが、南半球の空にあるため、日本国内からは「ほぼ見えない」か「ごく一部しか見えない」ようです。日本の台風名に選ぶならもっと見られやすい星座の方が認知が高いのではと思った星座の一つです。

こと座(夏の星座:7月から8月頃)

88星座の一つで、夏の大三角の近くにあるベガ(織姫星)を目印に探すことができます。こと座の神話は【天才音楽家:オルフェウス】が愛用していた楽器です。そもそもは【伝令の神:ヘルメス】が亀の甲羅で作ったが、【太陽と芸術の神:アポロン】の手にわたり、アポロンがオルフェウスに渡すといった経緯があります。オルフェウスの妻が毒蛇にかまれ、冥界に連れていかれることになり、【冥界の王:ハデス】にオルフェウスが演奏をしながら妻を返してもらおうと訴えます。ハデスは「地上に出るまで決して振り向いてはならない」と制限をかけながらも承諾しますが、オルフェウスは不安に負け、妻は再び冥界に取り残されることになったという話です。日本神話で【イザナミとイザナギ】といった似た話がありましたね。台風の名づけの法則が終わったら、星座や神話についても調べてみたいと思います。

くじら座(秋の星座:10月から12月頃)

くじら座は全天で4番目に広い星座であるため、その全貌を捉えることが難しいといわれていますが、【秋の四辺形】を目安に探すことができます。くじら座の神話は【エチオピア王家の物語】に最終場面で登場する海の怪物(ケトス)のお話です。神話の中ではすべてを飲み込む凶暴な化物のようです。

どのような話かといいますと、エチオピア王妃のカシオペアが自分の娘である【アンドロメダ】が可愛いと海の妖精と比較して伝えてしまいます。【海神:ポセイドン】はそれに怒り、エチオピアを滅ぼすためにケトスをエチオピアに送り、「滅ぼされたくなければ、アンドロメダをいけにえに捧げるように」と要求します。ケトスがアンドロメダを食べようとした瞬間に、メデューサとの戦いを終えた【英雄:ペルセウス】がやってきて、ケトスと石化させてしまいます。ケトスはそのまま天に上げられくじら座になったという話です。話が次々と展開されていくため、そんなうまい話があるのかな、とつい突っ込んでしまいます。

こぐま座(年中見れる星座)

こぐま座の神話は【親子の絆】の物語です。母親である【カリスト】は【大神:ゼウス】と恋仲になり、二人の間に【息子:アルカス】が産まれます。しかし、ゼウスの【正妻:ヘラ】がカリストを大熊の姿に変身させ、大熊になったカリストは森へ追いやられます。息子アルカスが成長し、狩人になった頃、森の中で大熊のカリストと遭遇します。カリストは両手を広げ、ハグを求めますが、アルカスは襲われる手前で槍を構えてしまいます。その様子を見たゼウスがアルカスを小熊に変身させ、2匹の熊を天に上げたという話です。

こぐま座は地平線に沈まない星座であるため、【周極性】と呼ばれているそうです。こぐま座のしっぽの先には、地球の自転軸の真上近くにある【北極星】があり、すべての星は北極星を中心に回っているため、北極星を含む【こぐま座】は地面の下に沈むことがないらしいとのことです。北極星は理科の授業で聞き覚えがありましたが、その近辺にどの星座があるといったことは覚えていないため、知識が結びついたときに少しうれしくなりました。

とけい座(冬の星座:12月から1月頃)

とけい座はかじき座と同様に南天の非常に低い位置にある星座のため、日本国内からは「ほぼ見えない」か、見えたとしても「ごく一部が地平線すれすれにかすめるだけ」という非常に厳しい条件があるようです。

とけい座の神話はなく、18世紀半ばに【天文学者:ニコラ・ルイ・ド・ラカイユ】によって作られました。当時の最先端の科学技術がモチーフになっています。天文の法則は88星座以外にあるようで、どのような種類があるのか、気になるところです。

トカゲ座(秋の星座:9月から10月頃)

とかげ座を構成する星は、一番明るい星でも4等星(暗い星)ばかりです。肉眼で形を捉えるには「都会の街明かりがない暗い夜空」が必要ですが、有名な2つの星座(カシオペア座とはくちょう座)に挟まれているため、位置の特定はしやすいとのことです。

とかげ座は17世紀の終わり(1687年)に、【天文学者:ヨハネス・ヘヴェリウス】によって新しく作られた【近代の星座】なのです。ヘヴェリウスは、星座が割り当てられていない【夜空の空白地帯】のところにトカゲ座を定めました。色んな学者が形状から星座を決めているのかな、と考えてしまいます。

やまねこ座(冬の星座:2月から4月頃)

トカゲ座と同様に、やまねこ座もヘヴェリウスによって空白地帯に名づけられました。【おおぐま座】と【ふたご座】に挟まれている暗い星座であり、ヘヴェリウス曰く、「この区域にある星々を見るためには、山猫のような鋭い視力を持っていなければならない」といった逸話が残されています。

さて、色々と情報が集まってきたので少し整理をしていきたく思います。有名な神話もあれば、プラネタリウムで少し聞いたことがあるような、といった神話もありました。

最後に、神話の有無、季節、形の一致、3つの観点から星座と台風の名づけについて考察します。

神話の有無

神話がなかったのは【とも座】、【カジキ座】、【とけい座】、【やまねこ座】、の4星座です。いずれも新星座という、後から名前がつけられ星座です。【へび座】も分離して誕生した正座なので神話がない星座といっても良いのかもしれません。

【こいぬ座】、【へび座】、【こと座】、【こぐま座】は悲劇的な結末を迎えたことから、天に上げられたという神話でした。そのような共通がありますが、【くじら座】は敵役として登場したため、一貫性が成り立ちません。

季節

星座の時期は一致しないが、冬が多く、春の星座から始まる星座がないのも特徴的でした。もう少し星座について詳しくなれば、何かしらの法則があるのかもしれませんが、この図からは関連がわかりにくいです。

形の一致

この形は星座自体の形ではなく、星座名を聞いて、台風の形状をイメージできるのではないかといった、見立てからくるものです。あくまで、筆者の妄想ですが、それとなしにい意味づけができた感じがします。

  • こいぬ座 :クルクルと走り回る様子から
  • とも座  :船尾からなびく、渦潮の様子を見て
  • へび座  :とぐろを巻く様子が台風と近似
  • カジキ座 :急接近をする様子や真っすぐに突き進むイメージから
  • こと座  :ことの形状のようにU字でやってくる台風があったため
  • くじら座 :巨大な台風をくじらの巨体からイメージして
  • こぐま座 :最初は小さくて身軽なイメージから
  • とけい座 :右回りに台風がやってくるから
  • トカゲ座 :しっぽの様子や素早く台風の方向が変わる様子から
  • ヤマネコ座:猫みたいに気まぐれな台風の方向を見て

さて、今回は日本の台風名を中心に星座を調べました。いろいろな解釈ができると思いますが、それぞれの星座をしっかりとみていくことで、「こんな解釈できないかな」と妄想を膨らませることができたかと思います。現実的な学びだけども、少し空想的な意味づけの世界の紹介でした。

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